歯科関連ニュース【バックナンバー】 |
2002年12月27日(金) |
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●“歯科の常識”変える 最短半年、スピード矯正
歯の矯正をしたいが、2〜3年も矯正装置を付けたままの生活はわずらわしい。就職や結婚式などに間に合わせたいが、「そんなに時間がかかるなら…」と、あきらめる人も多い。そんな人にピッタリなのが、歯科矯正の先進国、米国やヨーロッパで普及している「スピード矯正」。大人でも最短の場合わずか半年で終了する。これまでの歯科矯正の常識を変える新しい方法を銀座矯正歯科の深沢真一院長に聞いた。
「歯の矯正は一般的に矯正装置(ブラケット)を歯に装着し、一定の力を加えることで歯の移動を促す。短期間に矯正したい場合や一般的な矯正で身体に悪影響を及ぼす場合はコルチコトミーを併用することで解決できる」と深沢院長。
コルチコトミーとは、皮質骨切除術という意味で、歯の基盤となる骨に外科的手術を行う方法。表面の硬い部分の皮質骨を除去し、内面の軟らかい海綿骨にひびを入れ、歯を動きやすくする。
成人の歯の矯正は通常2〜3年かかるが、コルチコトミーを併用すれば期間を半分から4分の1に短縮できる。
深沢院長は「短期間ですむだけでなく、骨折の治癒と同じで、ひびを入れた部分はより強固になる。矯正後の歯列を安定させる力に優れ、後戻りしにくい」とさまざまな利点を強調する。
手術と聞くと、ちょっとためらってしまうが、親知らずを抜くときのような簡単な処置なのだという。日帰りでできるうえ、その日のうちから食事もできるので生活に支障はない。
対象年齢はおおむね16歳から体力さえあれば高齢者まで可能という。 深沢院長は「コルチコトミーは、期間が短いことが注目されるが、成人の矯正にかかわるさまざまな問題をなくすこともできる」と話す。
成人の矯正の問題点とは、矯正装置を長期間装着するため精神的苦痛がある▽骨が硬いため歯が動くことの違和感が強い▽歯周病が進行する可能性がある――など。これらはコルチコトミー併用で大きく改善される。
深沢院長は、コルチコトミーのほか、ヨーロッパで最先端の、歯を支える歯槽骨に切り込みを入れて割り、歯を並べ替えるオステオトミーや、歯の近くの骨にインプラントと呼ばれるビスを埋め、それを固定源に力を加えて一度にすべての歯を動かすアンカーインプラントを併用する。
また、従来は歯の表側に付けていた矯正装置を、表からはほとんど目につかない裏側に装着する舌側矯正を組み合わせ、患者の便宜を図っている。さらに、歯を治しただけではゆがんだ体に合わないこともあるため、患者によっては治療にカイロプラクティックを取り入れている。
気になる費用は、従来のおよそ2倍。深沢院長は「『短期間で確実に目立たず』と費用を比べれば、これが高いか安いかは個人の価値観の問題」と話す。
「短期間で美しく」とのニーズの高まりに、コルチコトミーを採用する矯正歯科は少しずつ増えている。だが、深沢院長は「高度な技術が必要なため、とても短期間で習得できる技術ではない。他の矯正歯科でずたずたにされ、駆け込んでくる人もいる。最良の治療を受けるには、治療法や医院を選ぶ段階から患者も高い意識を持つことが必要」と話している。
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治療前 |
治療後 |
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